黄色靭帯骨化症(おうしょくじんたいこっかしょう)というと、
楽天イーグルスの星野監督が診断されたことで、ニュースになりました。
それってどんな病気なのか、ご存知ですか?
私など、なんか腰痛の悪くなった病気、といったぐらいの認識しかありません。
実際、黄色靭帯骨化症とはどんな病気なのか、
気になったのでちょっと調べてみました。
黄色靱帯骨化症とは
黄色靭帯というのは、
脊柱(=背骨)の後ろ側(背中側)の椎弓(ついきゅう)
というパーツを結ぶ靭帯です。
黄色靭帯骨化症とは、
その黄色靭帯が通常の何倍も厚みを増し、
骨のように硬くなる(骨化)ことで、
神経(脊髄(せきずい))の通り道(脊柱管→背骨の中の空間)が狭くなり、
脊髄が圧迫されて、
足の痛みやしびれ、脱力感といった様々な症状が出る病気です。
原因は不明で、難病と呼ばれる、
厚生労働省の定める特定疾患に指定されています。
脊柱の前側(腹側)の椎体(ついたい)の後縁を連結する、
後縦靭帯が骨化する後縦靭帯骨化症と合併することがあります。
後縦靭帯骨化症は頚椎に起こりやすいですが、
黄色靭帯骨化症は胸椎(きょうつい)、特に下位胸椎によく起こります。
そのため、黄色靭帯骨化症では、症状が足に出ます。
年齢的には、40歳以上の発症が一般的で、欧米人に比べると、
日本人の方が発生頻度が高いです。
診断には、X線検査、CT、MRI、脊髄造影検査などが行われます。
しかし、X線検査ではわからないことが多く、
X線検査では診断が難しい場合には、CTやMRIなどが必要となります。
検査自体は、症状が出た人にだけ行われます。
それは、症状が出た場合に、治療対象となるからです。
中には、全く症状を起こさない人もいて、
たまたま別の検査をしていて見つかるといったこともあります。
黄色靱帯骨化症の症状
黄色靭帯骨化症の初期症状としては、
足の脱力やこわばり、しびれ、腰や背中の痛み、足の痛み
といったものがあります。
人によっては、痛みのない場合もあります。
この期間には、転倒などしないよう注意が必要です。
転倒で軽いけがをしたという場合でも、症状がひどくなることがあるからです。
重症になると、
排尿や排便に障害が出たり、
足がつっぱって歩くことが難しくなったり、
足が麻痺して歩けなくなるなど、
歩行が困難になったりして、生活に支障が出たりします。
間欠性跛行(かんけつせいはこう)をきたすこともあります。
間欠性跛行とは、数十~数百メートル歩くと、足に痛みやしびれを感じ、
少し休むとまた歩けるようになる症状です。
この症状のため、同様の症状があり、発生数の多い
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
と診断されていることもあります。
こうした症状の強さは、脊髄の圧迫の度合いと比例していません。
脊髄の圧迫が強いからといって、
症状も強くなるというわけではないということです。
黄色靱帯骨化症の治療法
治療としては、軽症の場合は、痛みやしびれに対するものとして、
鎮痛剤、筋弛緩剤、ビタミンB剤などが用いられます。
歩行障害、排尿障害など症状の強い場合には、手術が行われます。
手術では、骨化巣を切除して、脊髄の圧迫を取り除きます。
ただ、手術が必要になるのは、患者の1%弱、10万人に1人程度なので、
あまり重症化しない病気といえます。
漢方では、黄色靭帯骨化症の原因は、淤血(おけつ)だとされています。
淤血というのは、冷えや湿気などからの悪影響による、血行障害のことです。
それは、症状の全く出ない人がいるということは、
脊髄を圧迫しているのが症状の直接の原因ではないからだという考え方からです。
ですので、この淤血をなくす目的で、漢方薬は処方されます。
この漢方の考え方を読んで、思い出したことがあります。
全く症状がない人がいるというのは、黄色靭帯骨化症だけでなく、
腰のヘルニアでもあるそうです。
腰のヘルニアの症状の場合、ほとんどの人が骨盤など骨の歪みが原因で、
その歪みを治すことで症状は消えると考え、
そのような治療している医師がいます。
実際に、手術をしなくても、
その治療によって症状の消えた人もいるとのことでした。
黄色靭帯骨化症に対する漢方の考え方は、これと似ているなと思いました。
とはいえ、手術で症状がなくなった人がいるのも事実ですし、
脊髄の圧迫が原因である場合も当然あるのでしょう。
ですから、初期症状のうちならば、
漢方などを試してみるのも手かもしれません。