
概日リズム睡眠障害とは
眠りたい時刻に眠れない。
というようなこと、あなたにはありますか?
あるとすると、それはたまにですか?
それとも、毎日ですか?
もし、毎日だとすると、あなたは、
概日リズム睡眠障害(がいじつりずむすいみんしょうがい)
かもしれません。
概日リズムというのは、
英語では「circadian rhythm(サーカディアン・リズム)」といい、
睡眠・覚醒、ホルモン分泌、代謝などが、体内時計(たいないどけい)によって
調整されている、約24時間周期のリズムのことです。
「約24時間周期」=「概ね(おおむね)1日周期」のリズムなので、
概日リズムといいます。
体内時計の周期は、24時間ではなく、約24時間10分~約25時間で、
最近の研究では平均24時間11分という結果が出ています。
人は、この体内時計の周期と1日24時間周期とのズレを修正し、
体を24時間の周期に合わせて生活しています。
体内時計が何らかの理由で狂ってしまい、そのズレの修正がうまくいかなくなることで、
起こる睡眠障害のことを、概日リズム睡眠障害といいます。
概日リズム睡眠障害には、内因性のものと外因性のものがある
概日リズム睡眠障害には、内因性のものと外因性のものがあります。
内因性のものには、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒症候群、
不規則睡眠覚醒パターンといったものがあり、
外因性のものには、時間帯域変化症候群、 交代勤務睡眠障害といったものがあります。
睡眠相後退症候群(すいみんそうこうたいしょうこうぐん)
体内時計が遅れたままの状態となり、明け方近くにならないと眠れず、朝起きられません。
起きられないのを、無理をして起きると、頭痛、倦怠感、眠気、集中力の欠如、
食欲がなくなるなどの症状が出ます。
無理をせず、自然に目が覚めるまで寝ていれば、そういった症状は出ず、
体調は良いです。
思春期に多くみられ、夏休みなどの長期休暇や受験勉強などにより、
夜型の生活になると発症しやすくなります。
睡眠相前進症候群(すいみんそうぜんしんしょうこうぐん)
体内時計が進んだままの状態となり、夕方から眠くなり、深夜に目が覚めてしまいます。
昼間の生活には支障は出ませんが、残業や夜のつきあいなどができなくなります。
40代以降の中年や高齢者に多く、体内時計の周期が歳とともに短くなるのが原因です。
非24時間睡眠覚醒症候群(ひ24じかんすいみんかくせいしょうこうぐん)
寝付く時刻が、毎日1~2時間遅れていきます。
そうすると、目覚める時刻も遅れていくのですが、会社や学校に行くため、
決まった時刻に起床するので、寝不足になります。
体内時計の周期が25時間以上と長い、光の影響を受けやすい、
体内時計の調整機能が弱まっている、といったことが発症の原因と考えられています。
不規則型睡眠覚醒パターン(ふきそくがたすいみんかくせいぱたーん)
通常の睡眠リズムがなくなってしまい、1日に3回以上睡眠をとります。
1日の総睡眠時間は正常なんですが、
1回の睡眠時間が短いため、深い睡眠が減ります。
そのため、集中力や意欲の低下、体が疲れやすいといったことが起こります。
事故や病気による脳の器質的障害や、昼夜逆転の生活を続けているなどが、
発症の原因とされています。
時間帯域変化症候群(じかんたいいきへんかしょうこうぐん)
「時差ボケ」のことです。
時差が2、3時間以上ある場所へ、飛行機で短時間に移動すると起こります。
飛行機で移動するようになってから出てきたので、
英語ではジェットラグ(jet lag)と言います。
交代勤務睡眠障害(こうたいきんむすいみんしょうがい)
その名の通り、交代勤務が原因の睡眠障害です。
交代勤務のスケジュールに、体内時計を合わせることが困難になると起こります。
症状としては、倦怠感、不眠、胃腸障害などがあります。
体内時計が狂う原因
これらの睡眠障害は、何らかの原因によって、体内時計が狂ってしまうことで起こります。
その原因には、前述したもの以外に、以下のようなものがあります。
・よく夜更かしする
・夜、パソコン、ゲーム、携帯電話などの画面を見て、ブルーライトを浴びている
・食事の時間が日によって違う
・朝、ごはんを食べない
・睡眠が不足しがち
・休日には、寝だめをしている
・朝や日中に、あまり明るくないところで過ごしている
概日リズム睡眠障害の治療法
治療法としては、光療法、時間療法、薬物療法といったものがあります。
光療法
2500ルクス以上の高照度光(ライト)を使います。
2500ルクスというと、直視するとまぶしい明るさで、
一般的な蛍光灯は500ルクス程度なので、専用のライトを使用します。
この光を、体内時計を早めたいときには、起床すると同時に、1~3時間浴びにます。
そうすることで、体内時計をリセットすることができます。
遅らせたいときには、眠気が強くなる頃に、光を浴びます。
そうすると、体内時計を遅らせることができます。
時間療法
眠る時刻を毎日数時間ずつずらしていき、希望の時刻までずらしたら、
習慣化させる治療法です。
ただ、効果が1ヶ月くらいしか続かなかったりするので、
光療法や薬物療法を組み合わせて治療されます。
薬物療法
眠気をもたらすホルモンであるメラトニン、
睡眠のリズムを正常に整える働きのあるビタミンB12、
睡眠薬などが使用されます。