ノドンとは
ノドンとは、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が、
旧ソ連製のR-17(スカッドミサイル)をもとに開発した、
自走式準中距離弾道ミサイル(MRBM)です。
ノドンという名前は、このミサイルが確認された地名にちなんで、
アメリカが付けたコードネームです。
その地名は、日本海沿岸北部の咸鏡北道(ハムギョンプクト)の「蘆洞」です。
「蘆洞」は、北朝鮮では「ロドン」、韓国では「ノドン」と発音し、
アメリカのコードネームには韓国の発音が使われています。
北朝鮮では、当然ノドンとは呼ばれず、
「木星」または「火星7号」
と呼ばれているそうです。
なぜこんな名前になるのかというと、北朝鮮では、
ノドンの元になったスカッドミサイルのことは「火星」と呼ばれ、
スカッドBは「火星5号」、スカッドCは「火星6号」
と呼ばれているからです。
ノドンは、1980年代後半から、開発が開始されました。
1990年(平成2年)5月には、発射実験が行われましたが、
この時は失敗しています。
が、翌年1991年(平成3年)8月のテストには成功し、
1990年代前半には開発は完了しています。
1993年(平成5年)5月29日に試射が行われ、その時の射程は500kmほどで、
能登半島の北方350km付近に着弾したと考えられています。
この時、本来の射程距離の半分程度しか飛んでいないのは、
失敗ではなく日本を刺激しないようにしたとも言われています。
その後、1994年(平成6年)から実戦配備されています。
ノドンは、パキスタン、イランに輸出されています。
パキスタンの「ガウリ1」、イランの「シャハブ3」はノドンだと言われています。
ノドンの性能
ノドンの全長は16m、直径は1.35m、重量は16tで、
液体燃料ロケットモータを使用しています。
使用する液体燃料は、常温保存が可能で、
1時間ほどで燃料注入可能になっています。
出力は、R-17の倍程度です。
ペイロードは、約0.8~1.2tです。
ペイロードというのは、調べると「有効搭載量」と出てきますが、
簡単に言うとどれだけの弾頭を積めるかを表すもので、
ミサイルの最大積載量といったようなものです。
CEP(半数命中半径)は、190~2500mです。
CEPとは、発射したミサイルの半数の着弾が見込める範囲を、
目標を中心とした半径で表したものです。
スカッドBのCEPが450mなので、
ノドンのCEPだとピンポイント攻撃は苦手だと思われますが、
都市攻撃であるとか核弾頭を使うというのならば問題ない性能とされています。
射程は、1300km以上と言われています。
これだと、日本の大部分が射程内に入っています。
ノドンは、ミサイル発射車両(TEL)に搭載され、移動可能です。
固定式発射機の使用も可能となっています。
誘導方式は、3基のジャイロスコープを1組にした、
慣性誘導装置を使用しています。
発射後、分離された弾頭は高度200kmまで上昇し、大気圏へ再突入します。
再突入時の速度は、毎秒3km(音速の約9倍)以上で、
日本各地へは発射後6~11分程度で到着します。
ノドンに核弾頭が搭載されるのか
さて、北朝鮮は核弾頭を持っているのかというと、
専門家の中でも意見が分かれています。
その1つに、核弾頭を使うとなると、小型化が必要なのですが、
北朝鮮にはそんな技術も資金もなく、
2006年10月9日の核実験も爆発力が0.8tと異常に低いので失敗と考えられ、
まだ小型核弾頭を開発できていないという楽観論があります。
それとは逆に、技術的にできないという根拠はなく、
資金も投入されている以上、危険性を排除できないとする慎重論があります。
上記核実験において、事前に中国には4kt相当に抑えた実験を行う
と通告していたということがわかっています。
4ktに威力制御して0.8tなら及第点といえるので、
威力制御技術より簡単な小型化はもう出来ている可能性がある
というのが慎重論派の言い分のようです。