今年の夏には5年ぶりにエルニーニョ現象が発生する可能性がある、
というニュースが流れていました。
エルニーニョ現象といえば、異常気象の原因というイメージはあるんですが、
実際どんな現象なのでしょうか?
そういえば、ラニーニャ現象というのもあったと思うのですが・・・。
よ~く考えてみると、全く知らないので調べてみました。
エルニーニョ現象とラニーニャ現象は逆の現象
エルニーニョ現象とは、
太平洋赤道域の中部から南米のペルー沿岸までの広い海域において、
海面水温が平年より高くなり、
その状態が1年程度続く現象のことです。
逆に、海面水温が平年より低くなる現象を、
ラニーニャ現象といいます。
エルニーニョとは、スペイン語で
「男の子」、「神の子」=「イエス・キリスト」
を意味します。
もともとエルニーニョは、
南米ペルーとエクアドルの間のグアヤキル湾やその近海の太平洋東部で、
毎年12月頃に発生する海水温の上昇現象のことです。
この現象がクリスマスの頃に発生するので、
エルニーニョと呼ばれるようになりました。
そして、
数年に1度大規模に発生するものについて、
エルニーニョ現象と呼ぶようになりました。
ラニーニャは、同じくスペイン語で「女の子」を意味します。
ラニーニャ現象は、エルニーニョ現象と逆の現象なので、
エルニーニョ(男の子)の反対ということでラニーニャ(女の子)
と呼ばれるようになりました。
エルニーニョ現象、ラニーニャ現象時の大気と海洋の変動
それでは、エルニーニョ現象やラニーニャ現象時の
大気と海洋の変動を見ていきたいと思います。
・平常時
太平洋の熱帯域では、貿易風という東風が常に吹いています。
この貿易風により、海面付近の暖かい海水は、
太平洋西部に吹き寄せられています。
そのため、西部のインドネシア近海では、
海面下数百メートルまでの表層に暖かい海水が溜まっています。
逆に東部の南米沖では、貿易風と地球の自転により、
深いところから冷たい海水が海面近くに湧き上がる「湧昇流」が起こります。
このような状態で、太平洋西部では、
大気中にたくさんの蒸気が供給されるので、
積乱雲が盛んに発生します。
・エルニーニョ現象
貿易風が平常時より弱まると、
西部に吹き寄せられ溜まっていた暖かい海水が、東方へ広がり、
東部では湧昇流が弱まります。
そのため、太平洋赤道域の中部から東部の海域では、
平常時より海面水温が高くなります。
すると、積乱雲が盛んに発生する海域が、平常時より東へ移ります。
こういった状態だと、東太平洋赤道域の海水温は、1~2℃前後上昇します。
・ラニーニャ現象
貿易風が平常時より強くなると、
より西側に暖かい海水が吹き寄せられ厚く蓄積し、
東部では湧昇流が強くなります。
そのため、中部から東部の海域では、
平常時より海面水温は低くなります。
逆に、インドネシア近海の海上では、
積乱雲がいっそう盛んに発生するようになります。
こうしてみると、
貿易風の強弱がエルニーニョ現象やラニーニャ現象の発生に関係している
ように思えます。
このように貿易風が強くなったり弱くなったりするのには、
海面の気圧が関わっているそうです。
インドネシア付近の海面気圧と南太平洋東部の海面気圧は、
一方が高ければ他方は低くとシーソーのように連動しています。
これを南方振動といい、貿易風の強弱に関わっています。
現在、この南方振動とエルニーニョ現象が、
強く関係していることがわかってきたので、
「エルニーニョ・南方振動(ENSO:エンソ)」
という言葉もよく使われています。
とはいえ、現時点で根本的な原因は確定していません。
地球温暖化との関係も、関連している可能性があるという程度です。
まあ、今後研究が進んで、原因は明らかになると思いますけど。
エルニーニョ現象、ラニーニャ現象の影響
最後は、エルニーニョ現象やラニーニャ現象による影響についてです。
異常気象が起こるということは有名なのですが、
日本では過去どんな異常気象が起こったのでしょうか。
日本では、エルニーニョ現象によって、
梅雨明けの時期が遅れて冷夏になったり、
西高東低の気圧配置が安定しないので暖冬になる傾向があります。
ラニーニャ現象の場合は、西日本を中心に寒冬の傾向があります。
ですが、違うパターンの時もあったので、
エルニーニョ現象だと冷夏や暖冬、
ラニーニャ現象だと寒冬に必ずなるというわけでもないようです。