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マグネシウム電池とは(3)マグネシウム電池とは(2)からの続き

 

マグネシウム一次電池においては、2014年12月に発売されたものがあります。

それは、古河電池が凸版印刷と共同開発した、

「非常用マグネシウム空気電池 マグボックス(MgBOX)」です。

マグボックスは、凸版印刷が開発・製造した紙製の容器の4つの注水口それぞれに、

500mlのペットボトルで1回分の量(合計2リットル)を注水すれば発電をします。

注水する水は、淡水、海水のどちらでもよく、飲み水として使えない雨水、河川や池の水なども使えます

ただし、界面活性剤やアルコールの入った水は使えません。

 

マグボックスの最大電気量は、300Whです。

2個のUSB端子のついたUSBボックスを、ケーブルに接続することで、

スマートフォンを最大30回充電できます。

USBボックスに付いているリセットスイッチを、オンオフすることで最大5日間、電池はもちます。

重さは注水前で1.6kgで、外箱には6個重ねておけるだけの強度があります。

また、注水しなければ、長期間保存可能で、使用後はUSBボックスとケーブルを外せば、

燃えるゴミとして扱える安全な材質でできています。

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マグネシウム一次電池については、リサイクルが考えられています。

いくらマグネシウムが地球上に大量にあるとはいえ、消費するだけということになると、環境への負荷が大きくなるからです。

ただし、化学反応によってできる水酸化マグネシウムを、マグネシウムに戻すのは簡単ではありません。

水酸化マグネシウムは、水がなくなったり、加熱したりすれば酸化マグネシウムになります。

その酸化マグネシウムを、還元してマグネシウムを作るには、触媒とともに真空中で約2200℃で加熱する必要があります。

 

現在おもに行われている熱還元法は、ピジョン法というものです。

ピジョン法は、焼成ドロマイトとケイ素鉄(触媒)を、真空中で高温に加熱し、

ケイ素の還元作用でできたマグネシウムの蒸気を、冷却部で凝結させる方法です。

ピジョン法の問題点は、マグネシウム1t作るのに、石炭を11tも使うことです。

これなら、マグネシウムでなく石炭で発電した方が効率がよいですし、触媒に使ったケイ素は回収できません。

また、石炭を燃やすことで、温暖化ガスであるCO2を排出するという問題もあります。

 

このような問題を解決すべく、考えられている方法があります。

その1つの方法が、東北大の小濱教授の考えられた、太陽炉を使う方法です。

太陽炉とは、レンズや反射鏡を使って、太陽光を集め、高温を発生させる装置です。

2011年には、戦艦大和の部品を使った太陽炉の発生した熱を使った、

ピジョン法や炭素熱還元法によって、酸化マグネシウムを還元して、

マグネシウムを作ることに成功しています。

現在は、小濱教授とニコンが共同で、さらに高性能な太陽炉の、開発が進めてられています。

 

他には、東工大の矢部教授が、太陽光励起レーザーを使った方法を、考えられています。

矢部教授は、触媒なしの還元を目指しています。

それには、4000℃の高温を維持する必要があります。

ですが、ただ4000℃の熱を発生させればよいのではなく、

還元で起こる蒸発や分解に必要なエネルギーも考慮に入れなければなりません。

そのエネルギーを温度に換算すると、約2万度になります。

それは、太陽光をレーザーに変えることで、実現できるということのようです。

レーザーであれば、局部的に加熱することができ、容器全体を暖める必要はありません。

また、レーザーエネルギーのほとんどは、蒸発の潜熱として、蒸気に持ち去られるので、

炉壁が超高温になることもありません。

実際に、1kW級の炭酸ガスレーザーで還元実験が行われていて、70%の純度でマグネシウムを生産できています。

現在は、太陽光励起レーザーの出力を、上げるための開発が進められています。

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