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マグネシウム電池とは(1)からの続き

 

ただ、マグネシウム電池に何の問題もないのかというと、そんなことはありません。

電池内の化学反応からできる、水酸化マグネシウムをどうするかという問題があります。

その問題とは、化学反応によりできた水酸化マグネシウムが、

皮膜となって負極のマグネシウムの表面を覆ってしまい、

内部のマグネシウムが反応できなくなり、

化学反応がすぐに終わってしまうことです。

これでは、電池としては使えません。

 

この問題、現在はいくつかの解決策が見つかっています。

その1つが、東北大学の小濱教授の発見した、難燃性マグネシウムを使う方法です。

小濱教授は、エアロトレインの研究をしています。

エアロトレインとは、地面から10㎝ほどの超低空を飛ぶ列車のことです。

太陽光や風力によって発電し、その電気でプロペラを回して、高速移動できるよう研究が進められています。

高速移動させるためには、エアロトレインの機体は軽くする必要があり、

その材料として、燃焼を抑制するためにカルシウムを混ぜた

難燃性マグネシウムが使用されました。

 

エネルギー問題について日ごろから考えていた小濱教授は、

機体を作って余った難燃性マグネシウムを使って、

マグネシウム電池を作ってモータを回してみたところ、

3週間も回り続けました

このことから、難燃性マグネシウムが、マグネシウム電池の負極に使えるということがわかりました。

それから、産業技術総合研究所、古河電池、日本素材との共同開発が始まり、

さらなる性能向上に向けた研究が進められています。

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東工大の矢部教授は、別な方法を考え出しました。

その方法とは、藤倉ゴムと共同開発したフィルム状のマグネシウムを、円筒状に巻いて、

少しずつ送り出して酸素と反応させるというものです。

それは、ビデオテープをイメージさせる形をしていて、

万が一、発火しても切れて燃え続けることはないそうです。

このフィルム型マグネシウム電池や1ヶ月充電不要の携帯電話用マグネシウム電池などの、

実用化に向けた研究が進められています。

 

京大の内本教授らは、高輝度光科学研究センターと共同で、

マグネシウム二次電池を開発しました。

その研究内容は、2014年7月11日、サイエンティフィック・リポーツに発表されました。

二次電池というのは、携帯電話などに使用されている、リチウムイオン電池のように、

電池が切れても充電することで、繰り返し使用することができる電池のことです。

二次があれば、一次もあるわけですが、一次電池というのは、乾電池のように充電できない電池のことです。

マグネシウム二次電池を実現するためには、電解液と正極を新開発する必要がありました。

そこで開発されたのが、ポリアニオン化合物正極とグライム系電解質です。

できあがったマグネシウム二次電池は、1kgあたりの容量約250Wh、10サイクル後の維持率90%をを実現しました。

リチウムイオン電池の約200Whを超え、材料費は約1割に抑えられています。

ただ、一度に流せる電流が少ないので、EV(電気自動車)に使うには能力が足らず、さらなる改良が進められています。

 

マグネシウム電池とは(3)へ続く

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